大学受験では、よく難易度の高いところが「一流大学」と呼ばれます。学問を研究する学校として、簡単な難易度では一流とは言えないだろう、という見方は多くの人々が納得できます。
これに加え、実際に研究論文が優れていて引用される回数が多い大学であれば、さすが一流、と思うに違いありません。
そのような難易度や学問の実績とはまた別の視点で、せっかく大卒という肩書きがありながらも就職活動が上手く行かず困っている人が毎年います。
何のために大学へわざわざ進んだのか考えてしまうという人にとっては、大企業や公務員に多数の先輩を輩出する「一流大学」なら就職しやすくて安心できる、という見方もあります。
このような「一流大学」に対して、そうではない大学は「二流大学」「三流大学」などと揶揄(やゆ)されてしまいます。
では、その「一流大学」と「二流大学」「三流大学」とでは、どの辺りが境い目になるのでしょうか?
立教大学
一流大学の証とは!?
まず、定番の「難易度が高い」「大企業に就職できる」という二大要素を確認しましょう。
どこまでが「一流大学」か、という線引きは、特に決められたものがありません。それでも、ランキング形式で何らかの序列のや順位を見ると、ある程度の感覚は掴めます。
もっとも、数字で測ることだけが全てではありません。飽くまでも大まかな目安として見てみましょう。
<偏差値と就職先で見る一流大学・国公立大学編>
国公立のトップ20大学は、以下の通りです。
順位 | 偏差値 | 大学名(主なキャンパス) |
---|---|---|
1位 | 70 | 東京大学 (東京) |
2位 | 69 | 京都大学 (京都) |
3位 | 67 | 東京工業大学 (東京) |
3位 | 67 | 一橋大学 (東京) |
5位 | 66 | 大阪大学 (大阪) |
6位 | 65 | 名古屋大学 (愛知) |
7位 | 64 | 神戸大学 (兵庫) |
7位 | 64 | 東北大学 (宮城) |
9位 | 63 | 北海道大学 (北海道) |
9位 | 62 | 東京外国語大学 (東京) |
11位 | 62 | 九州大学 (福岡) |
11位 | 62 | 大阪公立大学 (大阪) |
11位 | 62 | 筑波大学 (筑波) |
14位 | 61 | 横浜国立大学 (神奈川) |
14位 | 61 | 千葉大学 (千葉) |
15位 | 60 | 東京都立大学 (東京) |
17位 | 59 | 広島大学 (広島) |
17位 | 59 | お茶の水女子大学 (東京) |
17位 | 59 | 名古屋市立大学 (愛知) |
20位 | 58 | 電気通信大学 (東京) |
20位 | 58 | 岡山大学 (岡山) |
20位 | 58 | 金沢大学 (石川) |
順位 | 大学名(主なキャンパス) | 大手企業就職率 |
---|---|---|
1位 | 一橋大学 (東京) | 56.7% |
2位 | 東京工業大学 (東京) | 54.0% |
3位 | 国際教養大学 (秋田) | 35.2% |
4位 | 名古屋工業大学 (愛知) | 34.9% |
5位 | 電気通信大学 (東京) | 33.8% |
6位 | 大阪大学 (大阪) | 33.6% |
7位 | 九州工業大学 (福岡) | 32.6% |
8位 | 名古屋大学 (愛知) | 31.9% |
9位 | 横浜国立大学 (神奈川) | 30.4% |
11位 | 京都大学 (京都) | 29.8% |
12位 | 豊橋技術科学大学 (愛知) | 28.0% |
13位 | 東北大学 (宮城) | 27.7% |
13位 | 京都工芸繊維大学(京都) | 27.7% |
15位 | 神戸大学 (兵庫) | 27.3% |
16位 | 九州大学 (福岡) | 26.3% |
17位 | 大阪公立大学 (大阪) | 25.1% |
18位 | 北海道大学 (北海道) | 24.2% |
19位 | 東京外国語大学 (東京) | 23.3% |
20位 | 長岡科学技術大学 (新潟) | 22.4% |
お茶の水女子大学
<偏差値と就職先で見る一流大学・私立大学編>
今度は私立のトップ20大学です。
順位 | 偏差値 | 大学(主なキャンパス) |
---|---|---|
1位 | 70 | 慶應義塾大学 (東京) |
2位 | 69 | 早稲田大学 (東京) |
3位 | 66 | 上智大学 (東京) |
4位 | 64 | 明治大学 (東京) |
4位 | 64 | 同志社大学 (京都) |
6位 | 63 | 立教大学 (東京) |
6位 | 63 | 国際基督教大学 (東京) |
8位 | 62 | 東京理科大学 (東京) |
8位 | 62 | 青山学院大学 (東京) |
10位 | 60 | 中央大学 (東京) |
10位 | 60 | 法政大学 (東京) |
12位 | 59 | 学習院大学 (東京) |
13位 | 58 | 関西学院大学 (兵庫) |
13位 | 58 | 豊田工業大学 (愛知) |
15位 | 57 | 立命館大学 (京都) |
15位 | 57 | 明治学院大学 (東京) |
17位 | 56 | 関西大学 (大阪) |
17位 | 56 | 成蹊大学 (東京) |
17位 | 56 | 関西外国語大学 (大阪) |
17位 | 56 | 武蔵大学 (東京) |
順位 | 大学名 | 大手企業就職率 |
---|---|---|
1位 | 慶應義塾大学 (東京) | 40.9% |
2位 | 豊田工業大学 (愛知) | 38.7% |
3位 | 東京理科大学 (東京) | 36.3% |
4位 | 早稲田大学 (東京) | 32.9% |
5位 | 上智大学 (東京) | 29.2% |
6位 | 芝浦工業大学 (東京) | 27.5% |
7位 | 同志社大学 (京都) | 26.6% |
8位 | 明治大学 (東京) | 24.2% |
9位 | 国際基督教大学 (東京) | 23.1% |
11位 | 青山学院大学 (東京) | 22.1% |
12位 | 立教大学 (東京) | 21.2% |
13位 | 関西学院大学 (兵庫) | 20.4% |
14位 | 津田塾大学 (東京) | 20.3% |
15位 | 中央大学 (東京) | 19.3% |
16位 | 東京都市大学 (東京) | 19.1% |
17位 | 立命館大学 (京都) | 18.0% |
17位 | 学習院大学 (東京) | 18.0% |
19位 | 東京電機大学 (東京) | 17.8% |
20位 | 法政大学 (東京) | 16.7% |
以上が私立大学のトップ20です。
ここでの注意点は、公務員試験に受かってお役所勤めになる人や、卒業後に大学院に進学するという人、他の学部へ入り直す(学士編入)人は、当然ながら大企業の就職者の数に入りません。
そのため、大企業へ採用される人数だけで一流かどうかは決められません。しかしながら、有名企業に先輩が多数いるというのは「一流大学」の一つの証明と言えるでしょう。
また、入試の難易度が高いということは、大学受験において偏差値が高いということです。この偏差値の高さで「一流大学」と認められる大学が幾つもあります。
学部の募集人数が少なかったり学部や学科が希少価値で人気が高かったり、などで年度によって偏差値は変わることはありますが、全般的には大きく変動しません。
以上のことから、偏差値が高いことや大企業に就職できている大学は「一流大学」と思う人たちが多い、ということが一般的には言えます。
その逆に、これらの条件に全く当てはまらないと「二流大学」と呼ばれてしまうかも知れません。
同志社大学
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東進
https://www.toshin-hensachi.com/
河合塾
https://www.keinet.ne.jp/university/ranking/
旺文社パスナビ
https://passnavi.obunsha.co.jp/
ベネッセマナビジョン
https://manabi.benesse.ne.jp/daigaku/hensachi/
大学通信
https://univ-online.com/article/career/19665/
研究機関としても一流なら本物
入試の難易度が難しいのに、入学したら勉強が大したことがなくて拍子抜けしてしまった、となれば一所懸命に受験勉強をした甲斐がありません。大学として、学術レベルが高いと「一流大学」を堂々と名乗れるというものです。
<引用された論文の多い研究機関トップ20!>
順位 | 研究機関名 | 引用論文の件数 | 論文が高引用 される割合 |
---|---|---|---|
1位 | 東京大学 | 1,219 | 1.53% |
2位 | 独立行政法人・科学技術振興機構 | 771 | 2.41% |
3位 | 京都大学 | 710 | 1.21% |
4位 | 大阪大学 | 613 | 1.28% |
5位 | 独立行政法人・理化学研究所 | 523 | 2.25% |
6位 | 東北大学 | 457 | 0.98% |
7位 | 独立行政法人・産業技術総合研究所 | 354 | 1.25% |
8位 | 名古屋大学 | 340 | 1.11% |
9位 | 東京工業大学 | 315 | 1.17% |
10位 | 筑波大学 | 246 | 1.25% |
11位 | 九州大学 | 241 | 0.76% |
12位 | 独立行政法人・物質材料研究機構 | 222 | 1.59% |
13位 | 広島大学 | 200 | 1.15% |
14位 | 北海道大学 | 193 | 0.61 |
15位 | 岡山大学 | 175 | 1.18 |
16位 | 神戸大学 | 148 | 1.09 |
17位 | 早稲田大学 | 147 | 1.41 |
18位 | 自然科学研究機構 | 146 | 1.20 |
19位 | 高エネルギー加速器研究機構 | 132 | 2.12 |
20位 | 慶應義塾大学 | 125 | 0.79 |
この一覧を見ると、大学ではない研究機関そのものが4施設ありますが、それに対して大学は16校となっています。つまり、研究機関として大学の存在意義があり、大きな役割を果たしていることになります。
大学では、国が資金を拠出して立派な設備が整う国立大学が断然に優位です。膨大なデータや研究材料を集めることができ、招かれている研究者の人数も多く、大学は社会人になる前段階の生活の場であると同時に研究機関であることがわかります。
「高引用」される論文というのは、引用される回数がその分野の研究の中で上位1%以内に入っている論文を指します。したがって、単に引用されるだけではなく、多くの論文の中から選ばれての上位1%は大変に価値があり、有意義なものと言えます。
ちなみに世界の中で見ると、1位はアメリカ合衆国、2位はドイツ、3位はイギリス、4位は中国、そして5位に日本が入っています。
神戸大学
トムソン・ロイター
https://jp.linkedin.com/company/thomson-reuters-japan
有名でなければ一流ではない?
「一流大学」ならば必ず有名なのかというと、そうとも限りません。その反対に、有名なマンモス校の中で難易度の低い学校は多数あります。
また、難易度の低い大学の中でスポーツで知られている大学も多数ありますが、スポーツの強い大学は就職に強い長所があり、そういう点では単に知名度を見て一流、二流に隔てるのが難しい面があります。
以上のところから、「有名」と「一流」は同じではありません。
また、あまり有名ではなくても勉強熱心で社会に貢献している大学も少なからずあります。先進的な工業技術や国際社会に対応しているという観点とは違う面で改めて評価すべき大学が幾つかあります。
例えば、日本固有の文化を培ってきた伝統のある女子大学などは、近年はどんどん男女共学化の波に飲み込まれそうになっています。しかし、「名門」の女子大学の灯が消えてしまってもいいのでしょうか。
そういう点では、「名門」と呼ばれる大学の中には「一流大学」に含めてもおかしくない学校が幾つかあります。
<知名度は高くないが優良な大学10選>
国公立大学
- 帯広畜産大学・・・酪農や牧畜で実績がある
- 都留文科大学・・・教育分野で多くの人材を輩出している
- 神戸市外国語大学・・・翻訳に強い唯一の公立の外国語大学
- 東京海洋大学・・・漁業、造船、海の環境に強い
- 群馬県立女子大学・・・県立ながら女子大学として高い支持がある
私立大学
- 日本赤十字看護大学・・・高い技術と知識のある看護師を育成している
- 女子栄養大学・・・「食」で健康を築き上げてきた伝統校
- 大阪総合保育大学・・・日本初の乳児保育学科を持ち、就職率も抜群
- 桜美林大学・・・企業の人事部から好印象で採用率が良い
- 立命館アジア太平洋大学・・・留学生が多く国際感覚が養われている
ここに挙げた10校の大学は、誰でも知っている大学ではありません。
しかしながら、特定の分野において高い実績がある大学や、今後の社会に必要で徐々に注目されつつある大学で、「知る人ぞ知る」大学です。
都留文科大学
「二流大学」と呼ばれてしまう理由
ここまでは「一流大学」とは何ぞや!? という考察をしてきました。では、そうではない「二流大学」とは、どのような大学をいうのでしょうか。
その答えは実は明瞭です。上記のような「一流大学」の要素や条件、資格などが当てはまらない大学は「二流大学」「三流大学」と呼ばれます。
- 入試の難易度が高くない
- 就職に強くない
- 研究論文が引用されない
- 歴史や伝統がない
- 知名度が低い
これらの条件に全て該当すると、残念ながら「二流大学」と呼ばれることになります。
あとは、学生数の多いマンモス大学で知名度はあるものの、それ以外に特に評価されるものがない場合は、一流とは呼べない、と言わざるを得ません。
ただし、マンモス大学ということは、突然に巨大化したものではなく、長い年月を費やして大学を大きくしてきた学校がほとんんどです。その歴史と伝統を見れば、簡単に二流と呼んで見下すのもいかがなものかと考えさせられます。
マンモス大学は卒業生が膨大にいます。したがって、ある程度の従業員のいる企業には、大体はOB・OGがいます。その意味では、就職活動で先輩のツテを頼れる有利さはあります。
だからといって、それをもって一流かどうかというと、返答できかねます。
あるいは、端的に学力の有無で見て、偏差値の高くない(だいたい60以下)大学はまとめて「二流大学」と見る人たちも大勢います。
ここで大事なことは、その大学の一般的な評価であって、その大学に通う学生そのものの評価ではない、ということです。「一流大学」を出ただけで人として立派かどうかはわかりませんし、高い収入を得ている保証もありません。もっと言えば、収入が高いことが人として一流かどうかなど、誰もわかりません。
もしも「二流大学」に行ったならば、そこから本気で物事に取り組んで評価される人間に成長すればいいのです。
まとめ
今回は、「一流大学」と「二流大学」との違いについて説明しました。
様々な視点がありますが、それらを集約すると、
- 入試の難易度が高い
- 就職に強い
- 研究論文が引用される
- 歴史や伝統がある
- 知名度が高い
このような条件、要素の幾つかが揃えば「一流大学」と呼ばれます。また単に偏差値が高いだけでも「一流大学」に認められることもあります。
一方で、「二流大学」と呼ばれてしまう大学は、「一流大学」に当てはまるものがなく、そういう観点では満たす所を持っていないのが「二流大学」です。ただし、「二流大学」に入学しても、そこから努力して挽回するのは可能です。
あなたが受験生で「一流大学」へ行けるチャンスがあるなら、それを逃すのは勿体ないことです。努力を重ねて目標にする「一流大学」を突破しましょう!