大学のグループ分けの一つに「GMARCH」(Gマーチ)があります。「G」は学習院大学で、よく言われる「MARCH」(マーチ)に「G」を加えて「GMARCH」と呼ばれます。
この「GMARCH」は、私立大学の中では難関の部類に入ると言われていますが、では、「GMARCH」よりもっと難しい大学は、どれくらいあるのでしょうか。
今回は、私立大学に絞り、「GMARCH」のさらに上を行く難関大学をマナビバが紹介します。
国際基督教大学
「GMARCH」以上の難関大学とは?
「GMARCH」以上の難関大学は、この4大学です。
- 慶應義塾大学
- 早稲田大学
- 上智大学
- 国際基督教大学(ICU)
以上の4大学は、入試の偏差値が抜き出ており、最難関、超難関などと言われます。この4大学に合格できる実力者は「GMARCH」が受験の滑り止めと考えている人も多く、これら4大学を本命校とする人が練習に「GMARCH」を受けておく、という位置づけになります。
では、この4大学を見ていきましょう。
<慶應義塾大学>
慶應義塾大学は長年にわたり多数の実業家を輩出してきた自由な校風と質の高い講義が特徴です。生徒一人ひとりが目的を持って自由に学問に専念することができるような工夫がされています。
10学部14学科で構成され、各学部の専門の科目と「全学共通科目」という一般教養の科目を受講できます。授業のレベルは非常に高く、通信教育での卒業率はわずか5%しかないことでも簡単ではないことがわかります。
教員1人あたりの学生数は14人と手厚い教育環境が与えられ、それぞれの専攻している学問のエキスパートを育て、日本経済界を牽引する人材を数多く輩出しています。
慶應義塾大学
<早稲田大学>
早稲田大学は慶應義塾大学と並んで日本の私立大学のツートップとして知られています。
看板学部である政治経済学部や法学部、近年人気の高い国際教養学部や社会学部などの人文系・社会系学部のほか、先進理工学部などの理工系学部、スポーツ科学部といった多種多様な学部があり、13学部があります。
また、全学オープン科目という制度があり、自分の興味関心に応じて自由に他学部の授業に参加できます。例えば、文化構想学部に所属する学生でも、政治経済学部の「行政学」の授業を受けることができます。
地方出身者の割合も多く、留学生の受入れ人数も国内最多であり、学生もバラエティに富んでいます。
早稲田大学
<上智大学>
上智大学の全体の偏差値は「65」です。
上智大学は、日本最古のキリスト教カトリックの大学です。有名な文学部だけでなく法学部や国際教養学部など人気の高い学部が幾つもあります。
カトリックの精神を重んじ、西洋風の校舎が目立つなど独特の雰囲気を醸し出しています。この環境からか、12,500人の学生総数のうち約7,000人が女子学生で、女子が多いことも大きな特徴です。
充実した語学教育プログラムや海外留学・国際交流プログラムの機会が用意されており、学内にも1000名を超える留学生が在籍しています。語学力を高めたい受験生には、国際系の学部学科が充実している上智大学は魅力的に映るでしょう。
長い間、「早慶上智」と呼ばれ、日本の私立大学トップ3の一角を占めています。
上智大学
<国際基督教大学>
国際基督教大学の全体の偏差値は「63」です。
国際基督教大学(ICU=International Christian University)は、米国のクリスチャンが中心になって設立運動を行い、プロテスタント系の大学として開校されました。
現在ではあまりプロテスタントかカトリックかにはこだわらない寛大な校風で、キャンパスも広大です。日本にいながら外国の大学に留学しているかのような感覚になり、学生は伸び伸びと過ごしています。
学部は教養学部(事実上の国際教養学部)のみで、教養科目を幅広く学んだ後、3年次に31もの分野の中から自分の専門を決めます。学内では共通語を英語とし、さらに英語、日本語以外の外国語の習得も目指したトリリンガル(3ヶ国語を話せる人)を育成する語学に強い国際派の大学として有名です。
学生数が少ないことや、キリスト教系の学校としても戦後に設立された後発なので知名度は「早慶上智」と比べると高くはありません。しかし難易度は大変な高さで、「早慶上智ICU」と言われるほどです。
ただし、試験の内容が他大学と異なる部分が大きく、単純には数値で表せませんが、全国模試では高い数値を出しています。
私立大学の偏差値トップ10
続いて、難易度の数値である偏差値トップ10を見てみましょう。
順位 | 偏差値 | 大学 | 都道府県 (主なキャンパス) |
---|---|---|---|
1 | 70 | 慶應義塾大学 | 東京 |
2 | 69 | 早稲田大学 | 東京 |
3 | 65 | 上智大学 | 東京 |
4 | 64 | 明治大学 | 東京 |
5 | 63 | 立教大学 | 東京 |
5 | 63 | 国際基督教大学 | 東京 |
7 | 62 | 同志社大学 | 京都 |
7 | 62 | 東京理科大学 | 東京 |
7 | 62 | 青山学院大学 | 東京 |
10 | 60 | 中央大学 | 東京 |
10 | 60 | 法政大学 | 東京 |
以上のように、全学部の偏差値の平均が60に達する大学は難関と呼ばれます。難関大学に進むなら、偏差値60以上を目安に勉強に取り組みましょう。
「GMARCH」と互角の大学も!
次は、上記の4大学に近い学力を持つ2大学を紹介します。「GMARCH」と比べて偏差値は遜色がなく、就職や地域的な評価では非常に高いのが以下の2大学です。
- 東京理科大学
- 同志社大学
<東京理科大学>
東京理科大学の全体の偏差値は「62」です。
東京理科大学は、理系の総合大学です。理系の学部だけで見れば「GMARCH」を上回る評価があります。特に就職においては「GMARCH」よりも大企業に採用されやすい傾向があります。
理工系に特化した東京理科大学は8学部を有し、研究水準は非常に高いと言われています。在学中に多くの資格取得が可能で、多くの資格試験合格者が存在することも大きな特徴です。
大学全体で見ると「GMARCH」は基本的に文系中心の総合大学のため、「GMARCH」の文系学部の高い偏差値が東京理科大学の偏差値を上回る所が大きいです。そこを考えると、理系学部のみで見れば東京理科大学は「GMARCH」よりも難易度が高いとも言えます。
東京理科大学
<同志社大学>
同志社大学の全体の偏差値は「62」です。
同志社大学は、西日本でNo.1の私立大学です。関西圏には私立の大学群が多数ありますが、その中で最も上位のグループは「関関同立」と呼ばれ、全体で「GMARCH」に匹敵する難易度を誇ります。
その「関関同立」を牽引し、他の関西学院大学、立命館大学、関西大学を引き離して半ば圧倒的な地位に君臨するのが同志社大学です。単に偏差値として見ると明治大学、立教大学、青山学院大学の「GMARCH」上位3校と同じくらいですが、西日本全般、特に近畿における評価はずば抜けています。
就職においても近畿では「早慶上智」とほぼ互角で、国立なら京都大学、大阪大学、神戸大学の「京阪神」、私立なら同志社大学、と言われるくらいの別格扱いです。実際、京都大学などの国立の難関大学の受験者が同志社大学を併願するので必然的に難易度が高くなります。
キリスト教プロテスタントの学校としても小綺麗で落ち着いた校風があります。
同志社大学
「GMARCH」の難易度と特徴を紹介!
ここで、比較対象の「GMARCH」を確認しましょう。
GMARCHの6校
- 学習院大学
- 明治大学
- 青山学院大学
- 立教大学
- 中央大学
- 法政大学
<G:学習院大学>
学習院大学の全体の偏差値は「59」です。
「MARCH」とほぼ同等の学力を持つ学習院大学を加えて「GMARCH」の呼称が定着しています。
実際、「MARCH」の上位にいる明治大学、青山学院大学、立教大学には及ばないものの、「MARCH」の下位にいる中央大学と法政大学は、学習院大学と比べてもほとんど差がありません。
学習院大学は都内の目白キャンパス1校舎だけなので、全ての学生がここに集まり、交流することができます。また、約6割の授業が30名以下の少人数制で行われ、他大学と比べて教員と学生の距離感が近いのが特徴です。
<M:明治大学>
明治大学の全体の偏差値は「64」です。
明治大学は、「GMARCH」の中で最も知名度が高く、例年、高校生が行きたい大学の上位に入っています。また、難易度も「早慶上智+ICU」に次いで高く、就職も大手企業に多数が採用されるなど、頭ひとつ抜き出てきたイメージで見られてきています。
昔からバンカラ風と呼ばれる男臭い伝統を残しつつも、女子学生の数も増えてアカ抜けた都会の明るい大学の印象も併せ持つ人気の高い大学になっています。
学生は自主的に勉学に励み、アルバイトをして学費を自分で払う学生もいるなど骨太の校風も健在です。「GMARCH」を代表する大学と言えます。
<A:青山学院大学>
青山学院大学の全体の偏差値は「62」です。
青山学院大学は、都内の青山にキャンパスを構える最もオシャレな都会派の大学と言われています。近年では箱根駅伝などスポーツでの強い学校としても知られるようになり、「GMARCH」の上位校として定着しています。
キリスト教プロテスタントの学校であり、都会派でオシャレな校風という側面はありますが、勉学も手を抜かず語学にも力を入れるなど、明治大学と並んで「GMARCH」を牽引する人気のある大学です。総じて勉強も遊びも両方とも目一杯取り組むのが「青学」の校風です。
初等部から中等部、高等部、大学まで一貫したブランドイメージがあるのも強みで、関西圏の関西学院大学と似ているのでよく比較されます。
<R:立教大学>
立教大学の全体の偏差値は「63」です。
立教大学は、大学の規模はやや小規模で、明治大学、青山学院大学、中央大学、法政大学より学生数は少ないです。しかし近年は異文化コミュニケーション学部、スポーツウェルネス学部など新しい学部が設置されて学生数も増えています。
学力も安定して高く、英語に力を入れて国際的な視野を身につけられる学校としても注目されています。元々がキリスト教の聖公会の流れを汲むミッションスクールで、明治時代に日本が国際化するために必要な英語力を養ってきました。
「GMARCH」の中では明治大学、青山学院大学と上位グループを形成しています。蔦の葉の絡まる校舎は独特の雰囲気を持ち、伝統を感じさせます。依然として女子の人気が高く、女子の学生数が男子よりも多いのが特色です。
<C:中央大学>
中央大学の全体の偏差値は「60」です。
中央大学は、法学部が看板学部で、こと法学部に関しては別格の扱いをされています。早稲田大学の法学部や慶應義塾大学の法学部と並び称されるほどの難易度を誇ります。
近年までは多くの大学が都心から少し離れた所にキャンパスを分散させていましたが、最近は都心回帰の現象が見られます。この中央大学も法学部を都内文京区の茗荷谷にキャンパスを移転し、人気復活を狙っています。
学生はおとなしい雰囲気の地方出身者が比較的多く、堅実な学生生活を送っているイメージがあります。スポーツも強く、中堅クラス以上を目指す受験生のチャレンジ校という位置づけにあります。
<H:法政大学>
法政大学の全体の偏差値は「60」です。
法政大学は、「GMARCH」の呼称の前から用いられている「MARCH」で最も合格しやすい大学です。近年はグローバル教養学部が台頭し、看板だった法学部を抜き去って法政=グローバル教養、という印象が出てきています。
学生たちは、「東京六大学」の大学群の呼称を好んで使います。高年齢層や地方の人々にとっては受験の難易度の「GMARCH」よりも学生野球のリーグとしての「東京六大学」に馴染みがあり、実際に地方での就職活動では未だに「GMARCH」より「東京六大学」を耳にすることがしばしばです。
「GMARCH」では学習院大学、中央大学、法政大学が下位グループとなります。それだけに、中堅クラス以上を目指す受験生にとっては法政大学は絶好のチャレンジ校となっています。
「GMARCH」に近いレベル・評価の大学は?
「GMARCH」と大体同じくらいの評価、あるいは評価が近いところにいる、5校の大学も紹介します。
- 立命館大学
- 関西学院大学
- 関西大学
- 南山大学
- 豊田工業大学
<立命館大学>
立命館大学の全体の偏差値は「57」です。
立命館大学は、同志社大学と並んで京都を代表する名門私立大学です。「関関同立」の1校です。
語学や国際的な教養に力を入れており、映像や食マネジメントなどのユニークな学部もあります。
学内の施設も充実し、勉学に取り組みやすい環境が整っています。
<関西学院大学>
関西学院大学の全体の偏差値は「59」です。
関西学院大学は、幼稚園から大学まで「関学」ブランドを持つ兵庫を代表する名門私立大学です。
神戸の街並みに合うキリスト教プロテスタントの洋風で小綺麗なキャンパスが特徴です。
「関関同立」の1校で、勉学とスポーツの両方とも有名であり、阪神地区で高い人気を誇ります。
<関西大学>
関西大学の全体の偏差値は「57」です。
関西大学は、13の学部と3万人の学生、5カ所のキャンパスなど規模が大きく、大阪では近畿大学と並ぶマンモス校として知られています。非常に多くの学生と交流できるメリットがあります。
キャンパスも広く、図書館も大きいなど、全体にスペースがある学校です。
「関関同立」の1校で、この中では最も難易度が低いため、中堅クラス以上を目指す受験生のチャレンジ校となっています。また、「関関同立」のどこかには入りたい受験生が複数の学部を併願するため、全体に倍率が高めになる傾向があります。
<南山大学>
南山大学の全体の偏差値は「54」です。
南山大学は、中京地区を代表する名門私立大学で、キリスト教カトリックの精神に基づく教育を実践しています。難易度は中堅クラスですが、その中では最上位に位置しています。
名古屋をはじめとする中京圏においては、関西大学、関西学院大学、立命館大学、法政大学、中央大学、学習院大学などの難関大学の下位グループと同等の評価をする企業も多数あります。
中京圏の地元の高校から南山大学へ進み、そして地元の企業に就職という順当なルートがあり、その点で地域の社会的な評価は安定しています。受験での偏差値以上に地元の社会的な評価が高い学校です。
<豊田工業大学>
豊田工業大学の全体の偏差値は「58」です。
豊田工業大学は工学部のみの単科大学です。トヨタ自動車株式会社の社会貢献活動の一環で創立された大学で、就職においても高い実績があります。
実習科目が多く、体験的な学習を重視している大学です。大学のサポート体制も整備され、学生が就職してからも役立つ技能を習得できる強みを持っています。
地元の愛知県豊田市はもちろん、全国的にも輸送機器、自動車関連を中心とする工学系の企業に就職する際には非常に高い評判と知名度があります。
東進予備校
https://www.toshin-hensachi.com/
駿台予備校
https://hensachiterrace.com/trivia/18992
河合塾
https://www.keinet.ne.jp/university/ranking/
ベネッセ
https://manabi.benesse.ne.jp/ap/daigaku/search/nanido/
まとめ
今回は、「GMARCH以上の大学はどこか」を紹介し、説明しました。
慶應義塾大学と早稲田大学に上智大学、国際基督教大学が難易度も屈指と言われています。また、就職や地域的な評価の高さで東京理科大学と同志社大学も「GMARCH」と互角か、見方によってはそれ以上の位置づけになります。
一方で「GMARCH」の評価も依然として健在です。まずは「GMARCH」を含む上記の12大学に合格し、学生生活もしっかり勉学に励めば将来は明るい期待が持てます。
受験で難関校を目指す人は、各大学の学部・学科をよく考えた上で受験勉強を進めてください。