高校生で、大学受験を考えているものの、なかなか受験校を決定しきれない、どうやって大学を選べばいいか、ずっと迷っている。そういう高校生は、毎年、多数います。
このように大学受験を考え中の人たちにも、ある共通する判断基準が二つあります。それは、
「学歴として、この学校はどうなのか?」と、
「この学校を出て、ちゃんと就職できるのか?」です。
具体的に将来なりたい職業が決まっていなくても、まずは学力を高めて評価の高い大学に進学し、「学歴」を得る。そして、次の進路である「就職」への足場を固め、採用してくれる会社を探す手立てを広げていく。ここまでは、大概の高校生が考えているところです。
今回は、そのような「学歴」と、その先にある「就職」についてマナビバが解説します!
高い学歴は就職に有利か!?
まず、学歴が就職に有利かどうかを見てみましょう。
結論をいえば、「学歴」というより「高学歴」が就職で有利に働きます。
実際に古くから「学歴社会」は存在しています。「でもそれは昔の話で、今は実力社会だから学歴なんて関係ないよ!」と答える人もいるかも知れません。では、ここで学歴と就職、収入がどう関係しているのかを示すデータを見てみましょう。
まず、わかりやすいイメージ図で示すと、以下のようになります。
このピラミッドの階級は、わかりやすくイメージしてみるとこういう感じになります、というものなので全員がこの通りにはなりません。
ただ、このようなピラミッドの最上位にいる「旧帝国大学」「一橋大学」「東京工業大学」「神戸大学」などの国立大学や、「早稲田大学」「慶應義塾大学」「上智大学」などの最難関の私立大学の学生が、誰もが知っている一流企業や時代の花形とされるような人気の大手企業に就職できそうな位置に最も近い、ということは理解できます。
これからの新しい時代に向けて、自ら起業する人や会社に入らず自由気ままに生きる、なども可能であるならそういう選択肢もあるかも知れませんが、現実にはそう簡単にはいきません。そこで、有名企業や一流企業と言われる大きな会社に就職することが無難で安心できる、と考える人が多いという結果になります。
そして、大企業や一流企業に採用されたければ最低条件として上位の大学に行くべき、との目標を持つことになります。
なぜ学歴は大事なの?
次に、自分が大学に進学するか考え中の人で、世の中の主流、潮流を知っておきたい人は、下記の表を見て、全国でどれくらいの割合の人たちが大学まで進んでいるかを確認してください。
下記の表は、文部科学省のデータで、過去70年間近くの日本の進学率がわかります。近年は大学へ進む人たちの割合が6割に迫っています。
人口の多い首都圏と関西圏、中京圏、教育熱の高い広島県などは特に大学への進学意識が高く、逆に人口の少ない地方の市町村では大学の数も少ないため大学進学率が4割強に留まる地域もあります。
それらを含め、全体で6割近い大学進学率というのは、かなり高めと言えます。6割を超えるのも時間の問題といえます。そうなると、「大学に行くかどうか」ではなく「どの大学に行こうか」という次の段階に踏み込むことになります。
大学進学の人が多数派になり、将来に就職するにも大学まで行っておいたほうがいい、と思っている人が多い時代に入った、と受け止めましょう。そういう時代に自分がいるという認識を持ち、その上でどうするか、という話になります。
<問われる最終学歴と学生生活>
なぜ大学進学率が高まるのでしょうか。その最大の理由は少子化です。受験資格のある人口が減っているのに大学の入学定員数はあまり変わらないため、その結果、どこかの大学に入学できることになります。大学には入れるのが当たり前になってきているのです。
また、少子化に伴って国立大学は在籍者数を減らしているものの、一方で私立大学は学部を増設したり、女子大学が共学化して施設を拡充したり、入試問題が易しめの大学が増えるなど、大学に合格しやすくなっています。
このような経緯で、大学へ進学しやすい環境が揃いつつあります。そうなると、大学で学ぶ一般教養や専門知識などを知っている人の数は増え、そういう知見や学識は普通に持っておくものだ、という社会的な風潮にも関わってきます。
したがって、「学歴」は、これまでの高卒か大卒か専門学校卒か、という見方から「どこの大学へ行き、何を学んだか」を問われる時代へと徐々にシフトしていく傾向にある、といえます。
これを考えると、大学を選ぶ時の条件として、高いレベルの大学を目指すことに加え、「私は◯◯学を勉強しました」と言える所へ行こう、という意識も持つことが求められます。
https://www.mext.go.jp/content/20211222-mxt_chousa01-000019664-1.pdf
文部科学省
そもそも大卒の収入はどれくらい?
では、大学を出て就職したら、どれくらいの収入が得られるのでしょうか。
一人の職業人として、どんな仕事をしていくのかは大事な選択になります。しかし、具体的な職業が決まらず、職業というよりは企業の規模の大小で就職先を探したい、そして大きい会社で稼ぎたい、という人も多数います。
ある程度の規模の会社に採用されるには、当然にそれなりの学歴が求められます。現代は学歴より実力主義だ、という声もありますが、そもそも実力主義の前に、入社できないことには始まりません。
このことから、やはり自分の希望する会社に採用されたいなら、できるだけ高い学歴が必要になります。
以下の表は、卒業した学校が「大学・大学院」、「専門学校・短期大学」、「高校」のいずれかによって平均賃金がどれくらい違うかを示した表です。ここでは、大学のレベルに関わらず、大卒というだけでも相当な差が生じていることがわかります。
学歴 | 1ヵ月あたりの平均賃金 |
---|---|
大学、大学院卒業 の男性 | 400,500円 |
大学、大学院卒業 の女性 | 290,100円 |
専門学校、短期大学卒業の男性 | 313,800円 |
専門学校、短期大学卒業の女性 | 258,200円 |
高校卒業の男性 | 291,600円 |
高校卒業の女性 | 212,900円 |
(厚生労働省の賃金構造基本統計調査)
以上のように、毎月の賃金でこれだけの差があるなら、これが生涯賃金となると大卒と高卒とでは4千万円以上の違いになります。
これだけでも「先ずは大学に行こう」という考えになるのが理解できます。また、一般的な中小企業と大企業とを比べると、その収入の差もかなり広がります。収入のいい大企業に採用されるには、有名大学や難関大学に入っただけではなく、そこでどんな学生生活を送ったかについても堂々と話せるよう、学業にも真摯に取り組む姿勢が問われます。
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html
有名企業への就職率でも優位に
今度は、大企業から採用されやすい大学とはどんな大学なのかをご覧ください。この表は、志望校、目標校を絞り込む目安として活用できます。
順位 | 大学名 | 設立/所在地 | 有名企業就職率 | 有名企業への就職人数 |
---|---|---|---|---|
1位 | 一橋大学 | 国立/東京 | 55.5% | 482人 |
2位 | 東京工業大学 | 国立/東京 | 54.6% | 970人 |
3位 | 国際教養大学 | 公立/秋田 | 44.6% | 75人 |
4位 | 東京理科大学 | 私立/東京 | 41.4% | 1149人 |
5位 | 名古屋大学 | 国立/愛知 | 40.0% | 843人 |
6位 | 電気通信大学 | 国立/東京 | 39.8% | 304人 |
7位 | 名古屋工業大学 | 国立/愛知 | 39.7% | 393人 |
8位 | 大阪大学 | 国立/大阪 | 38.9% | 1511人 |
9位 | 九州工業大学 | 国立/福岡 | 38.3% | 375人 |
10位 | 豊田工業大学 | 私立/愛知 | 37.8% | 28人 |
有名企業400社への就職率、2021年卒、東洋経済新報社調べ
https://toyokeizai.net/articles/-/459513
よく知られた大学がズラリと並んでいます。特に工業や理科、技術系の大学の学生は企業からも人気があり、重要な研究開発の一員として採用されます。また、文系の人でも営業や人事など様々な職種で活躍できる可能性があるため、その人物が有能であれば文系か理系かを問わず大企業にも採用される道が開けます。
採用人数が大人数になる大企業の就職活動では、「学歴フィルター」と呼ばれる事前の選抜システムを企業が用います。これは、簡潔にいえば「どこの大学の学生か」だけで第一次の書類選考で振り分けてしまうシステムのことです。
このような場面で多大な力を発揮するのが「高い学歴」です。高学歴が就職活動に大きく影響するのがわかります。
大学を選べる学力があり、明確な目的意識がないなら可能な限り他の進学先を検討しよう!
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就職難の時代でも少しでも有利な就職活動をしていくためには、少しでも偏差値が高く、専門知識と教養知識を身につけよう!
まとめ
今回は、学歴は就職に有利なのか、学歴はどれくらい就職に影響があるのか、について説明いたしました。この記事を見れば、高卒より大卒が収入面でも有利であり、また難関大学を出れば有名な一流企業にも就職できるチャンスが広がることがわかります。
もし自分のなりたい職業が決まっていなくても、難関大学や有名大学へ行けば後からでも考え得る選択肢が広がり、様々な職業人生にチャレンジできる可能性が出てきます。目標は大きく持ち、上位の大学突破を狙いましょう。