「旧帝国大学」は、日本の国立大学の中でも歴史と伝統があり、学力も高い7つの総合大学を指します。現代の入試でも難易度が高い大学群です。
- 東京大学
- 京都大学
- 大阪大学
- 名古屋大学
- 東北大学
- 九州大学
- 北海道大学
以上の7大学が「旧帝国大学」です。
では、このような難関ばかりの大学群の中に「狙い目」の所があるのでしょうか。あまり知られていない穴場というよりは、近年になって入りやすくなってきたと言われている学部・学科を紹介していきます。
京都大学
狙い目の旧帝国大学の理系学部はココだ!
旧帝国大学の文系で「狙い目」となりそうな学部を見ていきましょう。
大学名 | 学部 | 偏差値 | 共通テスト得点率 | 倍率 |
---|---|---|---|---|
東京大学 | 理 Ⅱ | 67.5 | 84% | 3.4〜3.8倍 |
京都大学 | 農学部 | 63 | 79% | 2.1〜2.3倍 |
大阪大学 | 医学部(保健) | 60 | 68% | 2〜3倍 |
名古屋大学 | 工学部 (マテリアル工学科、 エネルギー理工学科) | 57.5 | 70% | 2.0〜 2.2倍 |
東北大学 | 理学部(地球科学系) | 60 | 72% | 1.6〜1.8倍 |
九州大学 | 芸術工学部 | 55 | 69% | 2.2〜2.6倍 |
北海道大学 | 水産学部 | 55 | 66% | 2.3〜2.9倍 |
以上が難関の「旧帝国大学」の中で比較的入りやすくなっている学部・学科です。
では、各大学の狙い目の学部・学科の特徴を見ていきましょう。
<東京大学:理 Ⅱ>
東京大学は、「理 Ⅱ」が比較的合格しやすいです。
理由は、合格最低点が低く、また共通テスト得点率も低いからです。
それに対して理 Ⅰ は倍率が低いですが、それは募集人数が多いためです。倍率の低い理 Ⅰですが、共通テストの得点率や合格の最低点のハードルは高いです。そういう点で理 Ⅰ の方がより難関と言えます。
文系と同様に、こと東京大学に関しては「合格しやすい」という表現はそもそも当てはまらないかも知れませんが、理系の中では理 Ⅱ が入りやすいです。
<京都大学:農学部>
京都大学は、農学部が狙い目です。
農学部の「資源生物科学科」「食料・環境経済科」「森林科学」はいずれも倍率が低く、共通テスト得点率も80%を切っています。
京都大学の理系・文系を合わせた中でも最も難易度が低めと言えるのが農学部です。京都大学にしては偏差値が低いという点でもチャンスです。
長年、東京大学と並び称せられてきた京都大学に入れる隙間があるなら、この機会を逃さないようにしたいところです。
<大阪大学:医学部・保健系>
大阪大学は、医学部の「保健・看護学科」「保健・放射線技術科学科」が狙い目です。
旧帝国大学の全体を見渡しても医学部の医学科はとてつもなく難関ですが、それに比べると「看護学科」「放射線学科」は意外と狙い目で、特に大阪大学の医療系ではこの「看護学科」と「放射線技術科学科」は穴場と言えます。
文系学部は5学部であるのに対し、理系学部は6学部を持つのが大阪大学です。それだけに、研究する環境としては十分で、理系分野の学生には取り組みやすい大学と言えます。
<名古屋大学:工学部>
この名古屋大学の工学部については、旧帝国大学の工学系の中でも特に倍率が低く、狙い目になっています。中でも、「エネルギー理工学科」「マテリアル工学科」はチャンスです。
倍率が低いだけでなく、共通テスト得点率は70%であり、偏差値も60以下です。中部地方の最高峰である名古屋大学で、近年ここまで入りやすいのは滅多にありません。
他に、農学部も狙い目ですが、工学部のように人気度の高い学部で合格の可能性があるなら挑戦する価値はあります。
<東北大学:理学部・地球科学系>
東北大学では、偏差値、共通テスト得点率の両方で、理学部の「地球科学系」が旧帝国大学の理学部としては割と入りやすい位置づけにあります。
同じ理学部には、他に数学系、物理系、化学系、生物系がありますが、その4学科よりこの「地球科学系」は難易度が低いです。地球、生命、環境、宇宙の4分野を学びます。
首都圏、近畿圏、中京圏の三大都市圏の受験生から見て、仙台は過密の程度が緩く、学習環境も良いため、狙い目の存在になります。
<九州大学:芸術工学部>
工学部とは別に、「芸術工学部」を持つのが九州大学の特徴です。
近年の九州大学は工学部も難易度が下がり、入りやすくなっていますが、希少価値という点でも芸術工学部の「インダストリアルデザイン科」や「環境設計科」が狙い目です。
全ての旧帝国大学の中で、九州大学の工学部と「芸術工学部」は倍率が低く、共通テスト得点率は70%程度、偏差値も55〜57くらいで最もオススメです。
就職でも工学部出身者は他大学にも多数いますが、「芸術工学部」の出身者は少ないので優位に働きます。
<北海道大学:水産学部>
北海道大学の水産学部は、キャンパスが札幌ではなく函館にあります。
しかし、入学後の1年半は札幌キャンパスで一般教養課程を学び、2年生の後期から函館に移って水産学部の学問を本格的に勉強します。
学部によってキャンパスが違うのは、規模の大きな大学にはよくある事例ですが、北海道は距離的なスケールの大きさが他大学とは異なります。特急電車で4時間以上かかる距離のため、転居することを前提に受験を検討しましょう。
東京大学
東進
https://www.toshin-hensachi.com/
河合塾
https://www.keinet.ne.jp/university/ranking/
旺文社パスナビ
https://passnavi.obunsha.co.jp/
ベネッセマナビジョン
https://manabi.benesse.ne.jp/daigaku/hensachi/
「狙い目」のレベルはどのくらい?
旧帝国大学は、そもそもが難関で、簡単には合格できないと言われている大学群です。それでも、近年は少子化もあり、昔よりは合格しやすくなってきました。
ここで、その「狙い目」の学部の偏差値、共通テスト得点率、倍率などに加え、試験科目や出題傾向などが近い大学、学部を見ていき、大体の難しさを把握しておきましょう。
<狙い目の旧帝国大学と比較される大学と学部>
旧帝国大学の狙い目の学部 | 比較対象となる大学と学部 |
---|---|
東京大学・理 Ⅱ | ナシ |
京都大学・農学部 | 信州大学・医学部 |
大阪大学・医学部(保健) | 名古屋大学・医学部(保健) |
名古屋大学・工学部 (マテリアル工学科、 エネルギー理工学科) | 大阪大学・工学部 (地球総合工学科) |
東北大学・理学部(地球科学系) | 神戸大学・理学部(惑星) |
九州大学・芸術工学部 | 電気通信大学・情報理工学域 |
北海道大学・水産学部 | 千葉大学・園芸学部 |
同じ大学でも、学部・学科によって難易度が異なります。また、併願できる学校の有無、共通テストの結果によって志願変更が利くかなど、志望校を決定するまでに見ておかなければいけない所があります。
基本的には二次試験の内容が似ている大学を選ぶ人が多数派です。行きたい大学を順に志望校として決めたい気持ちも理解できますが、受験する科目が違うのは大きく不利になります。
また、同じ科目でも記述解答の形式が違ったり、オーソドックスな設問を多く出す学校と、その学校ならではというオリジナリティ色が強い所とでは、対策の立て方が違ってきます。
<旧帝国大学の「狙い目」に近い有力な大学は?>
旧帝国大学の難易度や格付けに近いレベルの大学は、限られてきます。
難易度は、偏差値の数値で見ればほぼわかりますが、格付けとなると現代の高校生にはピンと来ません。
旧帝国大学に次ぐ格付けの大学群は、理系は「 旧制工科大学」の 東京工業大学が何をおいても真っ先に挙がる存在です。
この他では「旧制文理科大学」の筑波大学が難関です。また、千葉大学もこれに匹敵します。続いて伝統校の広島大学、岡山大学、首都圏では横浜国立大学が有力です。
これらの国立大学の理系は、研究する施設が充実しています。勉学に注力できる環境と優秀な教授がいるため、卒業後もその能力を活かしてもらいたい、と考える企業や政府の研究機関が多数あります。
したがって、就職も有利になるという利点があります。
飽くまでも人物本位が重要で、学校の名前だけに頼っていてはいけないのは当然ですが、人物評価が良くて出身校も評価が良ければ優位になるのは間違いありません。
なお、文系なら「旧制商科大学」の一橋大学と神戸大学の評価が非常に高いです。
大阪大学
「狙い目」を決める上での注意点
受験校の倍率は、年度によって変化します。その倍率は、競合校の有無や時代の流行に左右されます。それにより、偏差値も推移していきます。
近年では、九州大学が校舎を移転したことを受けて人気や難易度が変化しましたが、そのような動きは、長い年月をかけて培われた歴史や伝統の「格」というものとは別物と思っておきましょう。
実際には、現時点での難易度が上か、あるいは古くからの社会的な評価が上か、それを比べて判定することは困難です。どちらとも言えない、というのが大方の意見と思われます。
ただ、「旧帝国大学」の威光は依然として大きく、かつ実際に難易度も高いので、その社会的な評価は容易に変わりません。
自分が勉強したい学問のことや将来に就きたい職業、学生生活の具体的なことも含めて必要なことはしっかり考えた上で、志望大学を「旧帝国大学」に狙いを定めましょう。
その中で合格を勝ち取れそうな学部・学科があるなら、単に合格しやすいからということではなく、「ここに行きたい!」という強い気持ちを持ち、勉学に励む4年間または6年間を送るつもりで合格を目指しましょう。
北海道大学
まとめ
今回は、「旧帝国大学」の中で比較的「狙い目」となるような学部を紹介しました。穴場となる条件として、
これらの条件が挙がります。
「旧帝国大学」は、国家主導で開設され、近代日本の発展とともに運営されてきた歴史と伝統という重みがあります。
もし国立大学を目指すなら、最高峰の大学群である「旧帝国大学」を目指し、狙い目の学部・学科を突破しましょう!